アグリスの担当者が、日本から持ち出せるイチゴの品種の捜索中に発覚した
苗が持ち出せない問題。
UPOV条約というのがある、というのを初めて知った。
UPOV条約とは・・・
植物の新品種を各国が共通の基本的原則に従って保護することで、優れた品種の
開発と流通を促し、農業の発展に貢献することを目的として締結された条約。
とある。つまり保護することということは、裏返せば、輸出できない、持ち出しできない
と解釈できる。
この条約に日本が加盟したことで、種苗法が制定され、開発者の権利が保護されることとなったのだ。
開発者の権利は、日本は25年間である。
アジアで加盟しているのは、日本、韓国、中国、シンガポール、ベトナムの5か国のみ、ここにはフィリピンの名前はなかった。
「めちゃやばい。プロジェクトそのものが不成立となる危機である。」
「うーん。まさか、ここで引っ掛かるとは。
多くは県の農業試験場や企業が開発しているのだけど、イチゴは個人で開発している人がいるので、個人を当たって現地で開発するのは、どうかな。」
「日本とフィリピン間はNGだけど、確かタイには開発途中の品種があるので、
タイからフィリピンに、その品種を持っていったらどうか。」
どう突破するか、さすがプロの集まり、アイデアでまくりである。
「アメリカには輸出しているのだから、アメリカ経由でフィリピンに入れたら良いの
では」
「そもそも25年たった品種は、条約外になるから、古い品種を探したらよいのではないか」
今まで、不法に持ち出されて育てられている品種はたくさんある。
しかし、今回はプロセスを全部、公開する予定である。
なので、真向から進めたい、一点の曇りもあってはならないのだ。
侃々諤々の結果、こうなった。
①開発から25年以上経っている品種を探して、持ち出す
②第三国経由で輸入する
③開発者を口説いて、フィリピンで新種を開発する
③に関しては、これはニッポン産といえるのか、という疑問があるのだが、
ニッポン人が開発したからニッポン産としよう。
まぁ、面白いアイデアだから、アリである。
フィリピンで新種を開発して登録、それが大ヒットしたら、権利ビジネスとして全然、
成立する。
三人集まれば文殊の知恵とは、よく言ったものだ。
3名の皆さんには、感謝である。
さらに、嬉しいお土産があった。
アグリスの担当者から、こんな記事ありましたよ、と手渡された。
そこには、長野のイチゴ農家が、フィリピンでイチゴ栽培の指導をしていることが
書かれていた。
しまった、先を越されたか。
長野県南牧村のイチゴ農園経営、菊池辰夫さん。
20年前からフィリピンからの実習生を受け入れる一方、自ら現地に出向き、
指導しているというのである。
ニッポンの品種を育てているのか、、、いや、持ち出せないので、そんなことはないだろう。
とにかく、菊池さんに会って事情を聴くしかない。