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第9話 南牧村、イチゴ農園、菊池さんと会う

長野、南牧村は、山梨との県境にある。

高原には農地が広がり、レタスなどの高原野菜が育っていた。

ここで夏に、イチゴを作っているとは考えられないであろう。

 

菊池さんは、この地で、夏イチゴを栽培し始めたパイオニアなのである。

今では、季節に関係なくショートケーキにはイチゴが乗っていたりするので、

考えてみれば、どこかで日本国内では年中、イチゴは作られているのである。

 

ナビの指示する場所に着いたのだが、周りを見回しても、

菊池という表札は見当たらない。

やむを得ず、菊池さんに電話した。

「あー、ナビ入れると全然、違うとこ、案内されるんだよ」

ナビのあるあるである。

 

口頭で説明を受け、大きなビニールハウスを目印に車を走らせる。

「あった。発見。」

それは、ビニールで出来たハウスというよりも、巨大なグラスハウスであった。

ガラスみたいな素材でできていた。

 

菊池さんはハウスの脇にある、事務所の入り口に立っていた。

私は遅刻したことをお詫びし、事務所に入った。

 

あいさつの後、今までの経緯と私がやりたいことを説明した。

「あんたホントに、やるの?」

「はい、そのつもりです、来月、フィリピンに行って現地を視察します」

 

菊池さんは、立ち上がり。一枚の地図を手にして戻ってきた。

「ここがね、バギオで中心地、イチゴはこの隣のエリアのトリニダットというとこで

作っているんだよ。」という。

私はフィリピンの地名はまだ聞きなれてないこともあって、

さっぱりわからないので、ただ説明を聞いた。

要約すると。

 

・菊池さんは20年来、フィリピンから実習生を受け入れている。

・その実習生のほとんどが、トリニダット州から来ている。

・実習生のほとんどが実家が農家

・その実習生は、州か市町村からの推薦付、だから安心

・菊池さんは、毎年、フィリピンに戻った実習生を訪ねて支援している

 

「私たちは実費でトリニダットにいって、戻った子たちの支援をしているのだよ。

そんな交流もあって、今では南牧村とトリニダットは姉妹都市提携していて、

実習生の交換事業になっているんだ。」

 

菊池さん、すごいじゃん。

「そうやって現地に通わないと、なかなか、こんな田舎にはフィリピンの人は

来てくれないんだよ」

過疎化が進む田舎での問題が、改めて浮き彫りとなった。

菊池さんが作っている、夏イチゴ
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