15分でサウナを退室した。
通常ならば、水風呂に入ってクールダウンしたり、シャワーを浴びたりするのだが、
ここのサウナは、そのままタオルで汗を拭きとって完了だという。
その理由は、身体の芯から、保湿用の水分が出ているので、
シャワーで流してしまっては、効果が半減するのだという。
半信半疑のまま、タオルだけでふき取りした。
するとどうだろう。
通常ならば、汗で肌がネトネトし、不快なはずなのだが、
不思議と肌がすべすべなのだ。
59歳の私の肌が、サラサラ。。。
「これはすごい」。できれば、自分が毎日、入りたいと思った。
サウナを退室して、打ち合わせの部屋に戻った。
そこで改めて、社長からサウナの現状を聞いた。
今は口コミだけ。広告などは一切、行っていないのにも関わらず、
遠方からやってくる方が多い。
その多くは、がん患者など病気の方で、治療の一環として通っている。
目的は、体温を上げたいということと併せて、
汗をかいて体内の毒素を放出したいのだという。
病気で薬漬けとなった身体には、多くの毒素が残っているのは、想像がつく。
その話を聞いている傍ら、ご老人が横を歩いていった。
社長曰く、
「あの人、先月は杖を突いてやってきたのだけれど、今では普通に歩いて
いるんだよ。」
この低温スチームサウナを世に広げたい。
しかし、今、サウナブームなので、そのブームに乗ったような、
「整う」みたいな展開は好ましくない。
低体温で困っている方に、リーズナブルな価格で展開してくれる方と提携したい。
社長が病気になり、自ら開発したサウナだからこそ、みんなに利用して
欲しいのだという。
私は、むしろこのサウナに入りたい。
入りたいから、作っても良いかと思っていたくらいである。
しかし、私は映像と広告業をずっと営んできたので、
サウナ経営は、全くの未知数である。
さらに接客業は大の苦手である。
笑顔で接客など、今まで好き勝手やってきた私には到底無理だ。
「では、東海地方でどうやったらできるか、考えさせてください。」
と社長の提案をいったん、受けた。