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第3話 東海地方で展開するか、低温なのに大量の汗をかくサウナ

15分でサウナを退室した。

通常ならば、水風呂に入ってクールダウンしたり、シャワーを浴びたりするのだが、

ここのサウナは、そのままタオルで汗を拭きとって完了だという。

その理由は、身体の芯から、保湿用の水分が出ているので、

シャワーで流してしまっては、効果が半減するのだという。

半信半疑のまま、タオルだけでふき取りした。

するとどうだろう。

通常ならば、汗で肌がネトネトし、不快なはずなのだが、

不思議と肌がすべすべなのだ。

59歳の私の肌が、サラサラ。。。

「これはすごい」。できれば、自分が毎日、入りたいと思った。

サウナを退室して、打ち合わせの部屋に戻った。

そこで改めて、社長からサウナの現状を聞いた。

今は口コミだけ。広告などは一切、行っていないのにも関わらず、

遠方からやってくる方が多い。

その多くは、がん患者など病気の方で、治療の一環として通っている。

目的は、体温を上げたいということと併せて、

汗をかいて体内の毒素を放出したいのだという。

病気で薬漬けとなった身体には、多くの毒素が残っているのは、想像がつく。

その話を聞いている傍ら、ご老人が横を歩いていった。

社長曰く、

「あの人、先月は杖を突いてやってきたのだけれど、今では普通に歩いて

いるんだよ。」

この低温スチームサウナを世に広げたい。

しかし、今、サウナブームなので、そのブームに乗ったような、

「整う」みたいな展開は好ましくない。

低体温で困っている方に、リーズナブルな価格で展開してくれる方と提携したい。

社長が病気になり、自ら開発したサウナだからこそ、みんなに利用して

欲しいのだという。

私は、むしろこのサウナに入りたい。

入りたいから、作っても良いかと思っていたくらいである。

しかし、私は映像と広告業をずっと営んできたので、

サウナ経営は、全くの未知数である。

さらに接客業は大の苦手である。

笑顔で接客など、今まで好き勝手やってきた私には到底無理だ。

「では、東海地方でどうやったらできるか、考えさせてください。」

と社長の提案をいったん、受けた。

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