フィリピンのバギオエリアでは、イチゴは露地栽培を行っていた。
もちろん日本でも、露地でイチゴは作れるし、現に作っている方も多い。
しかし、その多くは家庭菜園というか、プロではない。
プロの多くは、水がコントロールできるハウス栽培である。
では、プロで、露地栽培を行っている人がいるのか。
調べてみたら、、、実はいるのだ。
北海道の千歳である。
本州では、イチゴ狩りは1-3月くらいが主である。
北海道千歳市では、6-7月にかけてイチゴ狩りが行われているのだ。
しかも、露地である。
ここは、路地のプロに会って、ご相談するしかない。
そう思い立ち、北海道の農業といえば、私が知っているのは中澤さんである。
北海道のむかわ町で農業を営んでいる。
千歳からもそんな遠くないので、知り合いは居ないか、早速、打診した。
フィリピンでの事情を説明した。
「中澤さん、千歳でイチゴ作っている農家は知らない?」
「知らないなぁ」
「千歳って露地で栽培しているでしょ、プロの協力が必要なんだわ」
「聞いてみるわ」
その結果、飛び込みで行って見ようとなった。
中澤さんが運転手も兼ねて、同行してくれることとなった。
しかし、この歳で飛び込みで交渉することになるとは、思わなかった。
10月16日
午前中、千歳空港に私は降り立った。
手には千歳でイチゴ農園を経営している農園のリストがある。
これだけが頼りである。
中澤さんと合流して、一軒づつあたることとなった。
1件目。
農地の脇にある資材や道具を入れる建物に人影を発見。
「すいませーん。」と声をかけると、「はーい」と女性からの返事があった。
フィリピンでイチゴを作りたいこと、露地栽培のプロを探していることなど
事情を話すと、
「あなた名古屋から来たの?」 と。「はい」
「フィリピンでイチゴ? 作るの?」 「はい」
ちょっと待ってね、イチゴの担当者を呼ぶからと言われ、待つこととなった。
ほどなくして車がやってきて、30代前半くらいの女性が降り立った。
挨拶をして、事情を説明した。
「今ね、イチゴ農家って一番忙しい時期だし、うちは人手がぎりぎりだから、
難しいなぁ、、、、海外でイチゴなら、宮城県でやっている方がいるので、
ご紹介しましょうか?」
「いえ、そうではなくて露地で作っている方の協力が必要なんですよ」
というやり取りがあり、結果、難しいとなった。
まぁ、一件目から、うまく行くわけがない。
中澤さん、次へ行こう。
2件目
ビニールハウスに2人の人影、発見。
「すいませーん。」と声をかけると、「なんですか?」と男性に振り返られた。
事情を話すと、
「うちは見ての通り、家族だけでやっているから、あなたの手伝いをする余裕は
ないです」
と、けんもほろろに断られた。
おじさんが2人、突然、やってきて、フィリピンでイチゴ作りたいから協力してくれって話をまともに聞く方が変である。
中澤さん、次いこ。
ある程度の規模でやっている農園でないと、人的に余裕がないから、
難しいのではないか、という話になり。
3件目は大きい農園を目指すこととした。
レストランも併設している規模感のある農園である。
休憩がてら、お茶でもしながら声をかけることにしよう。
お客としていくから、話は聞いてくれるはずだ。
花茶というレストランに入った。
お茶を注文したのち、店員さんに声をかけ、事情を話した。
すると、
「いま、社長、いますから話してみますね」
店員さんは厨房に消えていった。
よっしゃ!
目論見は成功するのか。