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第33話 フィリピン実習生とニッポン農家の交流 ~ディクラス州知事に会う篇~

私が訪れているバギオは、ベンゲット州というところにある。
マニラから、北上すること車で約5時間だ。
長野のような高原地帯、標高1000mなので、涼しい。
山間の街、平地が少ないため、山間までびっしりと住宅地が広がっている。

日本でいうと県庁にあたる州の役所を訪ねた。
目的は、州知事に会うためである。
  
長野の南牧村は、ベンゲット州と友好都市関係にある。
  
トリニダットから南牧村に来る実習生は、農家の子供と限定されている。
南牧村の実習生の受け入れ先は、ほとんどが農家だからだ。
彼らは、州の担当者の面接を経てから日本にやってくる、いわば、お墨付きである。

私たちは広い会議室に通され、待つこと、しばし。
ディクラス州知事が入ってきた。
思ったより、小柄だなぁ、が第一印象。
  
農業者交流協会の清水さんが間に入って翻訳し、表敬訪問の開始となった。
  
南牧村では、人口3500人のうち、実習生が500人ほどを占めているという。
実習生なしでは、農業が成り立たないほどだ。
人材の確保は、まさに死活問題なのである。
現状の報告と、今後の話があり、いったん、会合は完了した。
  
私は、手紙とお土産を用意していた。
手紙には、「私が、この地でニッポンのイチゴを農家に作ってもらうので、
協力をお願いしたいことと、ニッポンのイチゴを作ることで、
農業従事者の所得を上げる旨」が書いてある。
  
お土産は、シングルモルト・ウィスキー「ニッカのフロムザバレル」である。
フィリピンでも、ニッポンのウィスキーは人気があると踏んでのプレゼントである。
  
ディクラス州知事近寄り、声をかけて、手紙を渡した。
すぐに、手紙を読んでくれ、「オッケー」と手を差し出してくれたのであった。

間違ったことをしようとしている訳ではないので、当然なのだが。
この2ショット写真は、この地での展開にきっと役に立つはずだ。
  
ディクラス知事、ありがとう。
  
知事の表敬訪問のあとは、地元の農家を訪ねた。
その農家の息子が、近々、南牧村に実習生としてくるのだという。

その農家は、広大な農地を所有していた。

従業員も雇っていて、それなりの規模の農家である。
  
では、なぜ、日本へ?
日本に来るっていう事は、金銭的な事情だけではないだろう。
  

南牧村、有坂村長とニッポンにやってくる息子と父


誰もが、一度は、生まれ故郷を離れたいという思いはあると思う。
この海外実習生という制度を使えは、フィリピンの地では実現する。
  
私たち日本人みたいに、フィリピン人は簡単に海外に行けない。
働きに来たと思われ、簡単にはビザが降りないのだ。
  
それぞれ、いろんな思いがあって日本に来るのだなぁと
改めて思った。

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