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第7話 国間の条約の取り決めをどう、かいくぐるか

アグリスの担当者が、日本から持ち出せるイチゴの品種の捜索中に発覚した

苗が持ち出せない問題。

 

UPOV条約というのがある、というのを初めて知った。

 

UPOV条約とは・・・

植物の新品種を各国が共通の基本的原則に従って保護することで、優れた品種の

開発と流通を促し、農業の発展に貢献することを目的として締結された条約。

 

とある。つまり保護することということは、裏返せば、輸出できない、持ち出しできない

と解釈できる。

この条約に日本が加盟したことで、種苗法が制定され、開発者の権利が保護されることとなったのだ。

開発者の権利は、日本は25年間である。

 

アジアで加盟しているのは、日本、韓国、中国、シンガポール、ベトナムの5か国のみ、ここにはフィリピンの名前はなかった。

 

「めちゃやばい。プロジェクトそのものが不成立となる危機である。」

 

「うーん。まさか、ここで引っ掛かるとは。

多くは県の農業試験場や企業が開発しているのだけど、イチゴは個人で開発している人がいるので、個人を当たって現地で開発するのは、どうかな。」

 

「日本とフィリピン間はNGだけど、確かタイには開発途中の品種があるので、

タイからフィリピンに、その品種を持っていったらどうか。」

 

どう突破するか、さすがプロの集まり、アイデアでまくりである。

 

「アメリカには輸出しているのだから、アメリカ経由でフィリピンに入れたら良いの

では」

 

「そもそも25年たった品種は、条約外になるから、古い品種を探したらよいのではないか」

今まで、不法に持ち出されて育てられている品種はたくさんある。

しかし、今回はプロセスを全部、公開する予定である。

なので、真向から進めたい、一点の曇りもあってはならないのだ。

 

侃々諤々の結果、こうなった。

 

①開発から25年以上経っている品種を探して、持ち出す

②第三国経由で輸入する

③開発者を口説いて、フィリピンで新種を開発する

 

③に関しては、これはニッポン産といえるのか、という疑問があるのだが、

ニッポン人が開発したからニッポン産としよう。

まぁ、面白いアイデアだから、アリである。

フィリピンで新種を開発して登録、それが大ヒットしたら、権利ビジネスとして全然、

成立する。

 

三人集まれば文殊の知恵とは、よく言ったものだ。

3名の皆さんには、感謝である。

 

さらに、嬉しいお土産があった。

アグリスの担当者から、こんな記事ありましたよ、と手渡された。

そこには、長野のイチゴ農家が、フィリピンでイチゴ栽培の指導をしていることが

書かれていた。

 

しまった、先を越されたか。

 

長野県南牧村のイチゴ農園経営、菊池辰夫さん。

20年前からフィリピンからの実習生を受け入れる一方、自ら現地に出向き、

指導しているというのである。

 

ニッポンの品種を育てているのか、、、いや、持ち出せないので、そんなことはないだろう。

 

とにかく、菊池さんに会って事情を聴くしかない。

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