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第13話 空港の荷物取り違えから、新たな出会いへ

翌朝。

朝食会場で、浅野さんの一言から事は始まった。

「実はさ、昨晩から問題が発生しているのだわ。」

「また、何があったのですか?」

「荷物がね、俺のじゃないんだよ」

「えー、どうゆうこと?」

 

空港のバゲッジで他人のスーツケースをピックアップしたらしい。

 

浅野さんは、お土産にカップヌードル・シーフード味を3ケースと、

自身の荷物を詰めた黒いスーツケースを持っていた。

ちなみに、日清のカップラーメン、

特にシーフード味はフィリピン人に人気なのだという。

 

バゲッジでは、カップヌードルの箱の後に、私の赤いスーツケースが出てきて、

続いて、黒いスーツケースが出てきた。

それを見た浅野さんは、「俺のが出てきた」と思い、スーツケースを手にした。

ちょっと軽いな、と思ったのだけれど、カップラーメンに続いて私のスーツケースが

出てきたのだから、疑わず、「自分のだ」と思ったらしい。

 

そして荷物を積み込んで、ホテルに向かった。

夜にスーツケースを開けようとしたら、開かない。

よく見たら、他人のスーツケースだった。

 

持ち主を探して、自分のスーツケースを取り戻さないと、

アシスタントのフィリピン人に電話した。

しかし、出ない。

LINEも既読ならず。

何処にいったんだ。

浅野さんは途方に暮れながら、着衣のまま寝たのだった。

 

そして、朝、私との冒頭の会話である。

 

電話に出ないアシスタントって、使えないなぁ、とぼやいているのだが、

フィリピン人って、ゆるーくてそんな感じではないか、

と私は前日の空港迎車の一件もあり、受け止めていた。

 

そこに、しれーっとアシスタント女性がやってきた。

怒り爆発か、、、、どうするのだろうと、見ていたら、浅野さん優しい。

一切怒らず、事情を話していたのだった。

 

「すごいなぁ」と思った、私にはとうてい無理だ。

でも、こうじゃないと多各国の実習生なんて、世話できないのだろうなぁと。

 

フィリピン人アシスタントを、これからNさんとする。

 

Nさんは、フィリピンエアーに電話していた。

時間がかかりそうなので、他の手立てがないか、考えた。

 

フィリピンエアーは、スーツケースに連絡先を記入したシールを貼ることを

推奨している。

浅野さんの持っているスーツケースにも、シールが貼ってあるはずだ。

 

部屋に行き、スーツケースを確認した。

しかし、その予測は裏切られた。

ブルーのフィリピンエアーのシールは貼られていたのだが、

なぜか、そのシールには電話番号どころか、名前すら書かれていなかったのだ。

一体、何のためにシールだけ貼られているのか?

これで情報のソースはNさんのみとなった。

あぁ。

 

荷物は、フィリピンエアーの管理下にあると判明した。

浅野さんの荷物は空港にあった。

間違えられた方も、持って行っても困るから置いていったのであろう。

 

空港に荷物を引き取りに行くことになったのだが。

 

そこでまた問題が発生。

飛行機のチェックイン時に、荷物の管理者が私になっていたので、

私の同行が絶対条件となったのだ。

一人ホテルにいても仕方ないので、一緒に空港に向かった。

フィリピンエアーの空港事務所。

浅野さんが手にしているのは、間違えた方のスーツケース。

 

スーツケースを手に事務所に入ると、あーでもない、こーでもないと

また議論が始まった。

単に荷物の取り違えなのに、どうして議論が始まるのか、分からない。

こうゆう時は、現地語のタガログ語なので、何を話しているのか、

全然、分からない。

暇なのだろうか。

大勢の人が集まってきた。

たった一つの荷物のために1時間以上かけて空港に来て、

さらに空港では議論勃発。

 

いつ解放されるのだろう。

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