フィリピンエアー事務所での議論は収束し、次の舞台を空港の窓口に移動した。
ここまで来るのに、既に空港に到着して1時間は経過している。
いわば、フィリピンの「あるある」である。
次は、空港の事務所。
どうやら、ここで荷物を管理しているようである。
「宮崎さん、パスポートください」
「え?」
「あなたの名前で、荷物を預かっています」
そうか、持ち主は浅野さんだが、フライト時の荷物の受付は私が行った。
パスポートを渡すと代わりに、小さいメモを渡された。
これが許可書のようである。
そして私だけが中に入るように、言われた。
ウーム、パスポート無しの状態で無事、戻ってこられるのだろうか、
一抹の不安を覚えながら、中に入った。
すると、荷物ばかりの部屋に案内された。
そこには驚きの光景が広がっていた。
「えー、こんなに忘れ物の荷物あるんだ。」
驚きである。大量に大型スーツケースが並んでいた。
「こんなでかいスーツケースを忘れる人がいるのか、、、、」
どうゆうこと?
浅野さんみたいに取違いする人もいるのだろうが、多くは忘れ物なのであろう。
しかし、大型スーツケースって忘れるのかなぁ、、、、
と思いながら、浅野さんのスーツケースを探した。
それは、すぐに見つかった。
なぜか。
係官が持っていたからである。 (笑)
私はおそらく浅野さんのスーツケースであろう物を持って出た。
浅野さんに渡したところ、「これだ」とのこと。
まずは、本人に戻った。
問題は、もう一個の取り違えたスーツケースである。
フィリピンエアーからその持ち主も判明し、連絡先もゲットした。
滞在先のホテルを聞き、届けることとなった。
持ち主は怒り心頭なはず。
何ら落ち度がないし、1晩中、荷物がなくて困ったはずである。
また渋滞に巻き込まれ、普通なら30分くらいの距離なのだが、
1時間以上かかってホテルに到着。
電話してフロントに降りてきて、いただいた。
「あー、良かった。」が持ち主の第一声。
あれ、怒っていない。
持ち主は、岐阜在住の日本人であった。
「いゃー、日本人で良かった。
外国人だったら戻ってこないと思っていたから、良かったです」とのこと。
「外国に来たのだから、多少のことは覚悟しているし、それも楽しまなくては
外国に来た意味がないじゃないですか」
なんて良い人だ。
お詫びして、名刺交換して、帰国後に再開を約束した。
荷物を間違えたのは私ではないので、私が配慮する必要はないのだが。
岐阜で会食の場を作る、お詫びの場を決めた。
真ん中が荷物の持ち主、左側は友人・日本人です (笑)
この真ん中の方、相馬さんという。41歳。
相馬さんがこの先、フィリピンのこの事業にかかわる事になるとは、
この時は想像もしていなかった。