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第15話 マニラで実習生の現状を見た

やっと荷物問題が解決したので、舞台は仕事へ移行した。
  
今回は、私のイチゴもあるのだが、浅野さんの仕事の把握もある。
フィリピンのイチゴ事業の背景には実習生がいる。
  
この日、実習生の送り出し機関に行くことになっていた。
送り出し機関というのは、フィリピンから日本に実習生を送っている機関である。
  
実習生に関わることは、度々、報道されているので知っている方も多いであろう。
まぁ、簡単に言うと、労働力の輸入である。
安い労働力を輸入しているとストレートに言うと、対外的にも国内的にも
問題になるので、実習生という「見習い・勉強」と名を科している。
実態をオブラートに包んでいるのが、何とも歯切れが悪い。
  
実情は「安い労働力の提供」である。
あいまいな国、ニッポンだ。
本当は日本人がやりたがらない仕事をこなしてもらっているのが、現状なのに。
  
こちらでは、何と呼ばれているのか、聞いたところ、何やらみんなで相談していて、
その答え、「トレーニングと言われている」と。 (笑)
何を相談していたのだろう。
こちらでも、一応、言葉をオブラートに包んでいた。
まぁ、グルだわね。
  
実習生 = トレーニング 
実態とはかけ離れている感じだ。
  
送り出し機関は、普通のビルの中にあった。
  
この日、浅野さんの取引先の建設業者と、フィリピン人男性との面接の日であった。
当然、オンラインで行われる。
  
スマホが設置されていて、そこに華奢な男が案内されてきた。
こんな体系で建設業大丈夫かなぁ。

緊張していることもあろう。挨拶に関しても声が小さい。
浅野さんが隣席から
「男なんだから、もっとでかい声出さないと面接、受かんないよ」
と叱咤していた。
  
実は、この男性。
面接する先の建設会社に友人がいるのだという。(実習生なので勤務とは言わない)
友人がいたら、実態も聞いていることだし、辞めない(逃亡しない)であろうと、
採用側も安心する。
  
オンライン面談が始まった。
「はじめまして、私は***です。日本に行って頑張ります。」
と冒頭のあいさつ以外、日本語はできなかった。
「今まで、建設業はやったことあるの?」
「どんな機械を扱ってきた?」と
会社側の質問に対しては、ずっと通訳を介して会話であった。
しかも、ずっと声は小さい。
  
これで受かるのかなぁ、と私は見ていた。
私が採用する側なら、通常からしてNGだ。
なんせ元気がない、覇気がない。
  
しかし、友人が同じ会社にいるのは採用側としても強いファクターだ。
仕事自体は慣れるとして、面接で大切なことは、人柄だ。
みんなとうまくやっていけるか、が大切である。
その点、彼は友人がいるという「キラーコンテンツ」を持っている。
  
10分程度で面接は完了。
あっけなかった。
  
翌日、採用との連絡があった。
そんなものかもしれない。
実習生の実態を知っている方からしたら、「友人がいる」は強いファクターである。
その友人がちゃんと活躍していたら、なおさらである。
  
彼は、友人に救われたのであろう。
ホントに友人かどうか、不明であるが。

フィリピン名物、鳥がからまる電線 (笑)
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